20120521

りぼん

りぼんを聴いてから読むとあなたとわかちあえるかも、りぼんに寄せて。
買おうか迷ってる方にはまず読んでみてほしい、
りぼんに寄せて。

ホライズン山下宅配便「りぼん」が出ます。
でっかい音で聴いてください。

昨年秋から録音を、いつの間にか開始し、いつの間にかマスタリングを完了していたホライズンのアルバム。
といっても、いつの間にかなんてもんじゃない作業量で作られていたのを、私は2km先くらいの場所から眺めていました。
と、と、いっても、毎週のように虎茶屋に集まった5人(ミックス阿部くん含む)がどのような空気の中制作を進めていたかはまったく知りません。
できあがったアルバムその名も「りぼん」。
タイトルはりぼんだよ、と教えられた覚えはないけれど、いつの間にか知っていました。
メンバーに何故『りぼん』なのかをたずねたのはけっこうあとでした。完成を聴けばわかるのだろうと、なんとなく思っていたので。
聴いてもそんなに、、、わからなかったので、訊きましたが。
ただ、山下さんがずいぶんかわいいの使うなという意外さをおいといて言えば、りぼんというコトバには、なにかを結び贈る、繋げるモノのあったかみがあった。

そしてこのアルバムの一曲目のタイトルは、 『オクリモノ』だった。

あれっ
ホライズン山下宅配便が、何かを届けようとしている!
誰もがすぐにそれを感じるはずです。「りぼん」。

私はりぼんのことで奔走する毎日、トシもトシなので満身創痍の状況ですが、
どちらかといえばファンとして書きます。
(だから盲目な部分もあるけどそれでいいんです。私にとってホライズンはそういうバンドなわけですから。)


一曲目、『オクリモノ』の不穏なオープニングにびっくりしますが、私たちが無意識にホライズンに求めるものが既にここにギシっと詰まっているかのような音、そしてコーラスの妙技。「ポリリズム」と言ってるのでそうかあ、と思います。「ただのかっこいいリズム」だと思ってましたけど。パンを味わう準備をしておきましょう。こっから休みなしだぞ!
間髪なく二曲目「点ブレイク」へ流れます。ハポンでやった「玉手箱博覧会」から好きになった曲ですわ。その前にきいたことがあったかはわかりませんが。意味の無い連想だけのコトバにも、何かをかきたてられます。
なんとーっ三曲目は一尊/黒岡の共作として有名(すみません)な「オリンピックの前日」!これは七針で初めてやった時のを聴いてる人には「ここまでになったか、、、」という感慨がわかると思います。まさかアルバムに入るとは。しかも「ロートホルンの前に」「三曲目として」入ってることにもぐっときます。

M3とM4のイントロに入っている、何かは確定したくないけどなんとなく風景を連想させる音。既に物語の中にいることに気づかされます。

ばーんと4曲目『ロートホルン』。これは何も言うまい!ズルイくらい言うこと無しですから。しかしこのアルバムで唯一のシンプルというかスタンダード的なというか、まっすぐの曲ですね。
きました5曲目!よっ、『イカレコンマタヒラ』!これ聴くとりぼんがいかに音楽的に勝負しようとしてるのかわかると思います。ホライズンの奥深さ、理性知性狂気などが一気に理解できてしまうでしょう。オーボエ/チェロ中心の、ホラでは変則的な構成にかかわらずそれが全体にフィーチャーされたりぼんの、明らかこの『イカレコンマタヒラ』は代表トラックなんですから。初めて聴いたときのあの感動よ。

さあさあ。ここから物語はドラマチックになっていくのです。

6曲目『風呂の歌』。ライブで聴いていたときはまさかこんな大作だったとは知らず申し訳ありません。洗練されています。ここでみなさん、完全に風呂に入りますから。
7曲目『騎士』は途中に語りべが登場しておはなしを俯瞰するような一曲。アルバム用かきおろしですね。
全ての曲がスミズミまで完璧にしびれる『りぼん』の中で私がいわゆる「お気に入り」みたいな気持ちで好きなのが8曲目『ハコビヤ』です。イントロがすごく好きなのはピアノが入っているからでしょうか。非常に熱い曲だとも思っています。
はやくも9曲目になってしましました、、、『あかいあかい』。いよいよこのアルバムの選曲は、なんと渋いことかと。172曲以上の曲を持つホライズン山下宅配便がアルバムを作るとなったら、いくらでもたとえばノリのいいの、とか、ロックンなの、とか、ポップんなのとか、できるんだけれども、彼らはやりたい曲をやったんですよね。ある意味「日の目を見ていない」しかし自分たちがカタチにしたかった曲を、本当のカタチをみせてやる!とばかりに。そしてちゃんと、見せてんですよね。いやはや格好良いです。
10曲目『岸』。『騎士』と対になっています。だじゃれ?と一瞬思うけど、美しい響きの、きし、なのです。
11曲目の『コンドルととんでいく』は、ライブでも常に好評の曲ですね。かっこいいもんね。てっちゃんの曲は麻薬的。コンドル黒岡はとんでいき、綿毛の倉林が残りましたとさ。
12曲目はシングル『期待』に入っていた『ガラスの階段』を阿部くんがリミックスしたもの。素敵な入れ方です。この曲の歌詞きくと、ホライズンの”今日”が、詰まってるような(詰まってないような)気分になります。だからとても切なくて、同時に凛とするような。
おはなしの最後は大団円で、おそらく旅立ちがあり、さみしいものですが、
もう一度『オクリモノ』に戻って、そんな感傷ソンしたな、と思ってください。


長いことやってきた曲を初めて録音したり、ずっとやってきた歴史の過程があっての今のホライズンでこそできることでありつつも、管楽器入れまくり、重ねもしまくり、音も振りまくり、ホライズンがいじくりたおしてスタイリッシュに完成されたこのアルバムは、ホラ史のあらたな一歩です。
もはやホライズンのプライドとも言えるであろうコーラスもふんだんのアイディアで、これでもかと堪能させてくれます。


『りぼん』を聴いて、world recordのことを想いました。コレ(りぼん)は、アレ(WR)を凌ぐなんかがあるんでわ、、、と。
なんかがなにかといえば、なんなんでしょうね。
あのこれ、また宣伝のためにcero出して!とかじゃなくて。
world recordはやっぱり、凄いなあって思った作品で、その凄いな感が蘇ったんですよね。個人的ですけど。
注入されてる量が伝わるんですよね。
作業量が時間がとかではなくて(まあそういうのも含まれつつの)音楽をつくる時に注入されているモノの、量が。

このアルバムは恐ろしい。
まあ〜今までのホライズンのアルバムは全部それぞれに恐ろしいです。
だいたい、『こわー』と言ってきました。
何が怖いのかといえば、ホライズンのセンス、選択、独自性、孤高感、完成度であり、またこの作品があまり聴かれていない、ということでもあったりしたのです。
イマジネーション?創造性?そういうものを音楽に求めていなければ別ですが、

いやいや、違うんです。
それが必要でない生活などあるのだろうかと私は思っているのです。
たとえば絵をみるように、本を読むように、食事を作るように、服を買うように、車のローンを組むように。
そこにはうみだすもの/ことへの感動が常に含まれているのだから、
ホライズンの「うみだし」への興味、心奪われることは、生活の本能ではないかと私は思っているのです。
私のホライズンへの感動というのは時に尋常でなく思われがちですが、当たり前のことでしかないと思っています。
猫が動いているものを追うのと一緒だと。


ジャケットは小田島さんのあったかい絵、ブックレットには小田さんの渾身の文章など、パッケージもわくわくします。
買って聴きなさいと言える。
たとえばOne Day Calypsoをお勧めしたときも言ったのですが、迷っても「結果的に持ってたほうがいい」アルバム、ひとつにりぼん。
コレクションされることに関心はないけれど、私はこのアルバムが愛聴されるならその人はほかの今までのアルバムを聴かなくてもいいし、生のホライズンに触れなくてもいいとさえ思う。極端ですが
解説も言い訳も補足もいらない作品だと思っているからです。



ホライズンの楽曲の前においては稚拙な紹介でしかなく申し訳ないですが、りぼん発売までに思いためていたことを一部、お伝えしました。
不遇への抵抗はささやかでも、第一歩です。

千里の道も散歩から。

意味は無いけどぐっとくるね。




 
無駄に長く、また意味がわからないので/あるいは凄過ぎてコメントしづらいのか、Twitter等で反応がまったくみられないPV。最低でも10回は観てほしいけど。






音楽のセレクトと入れ方がヤバイ。